はじめに
金色の絵の具を持っていません。
金箔やメタリックカラーを使わずに、絵の具の混色だけで「金色に見える光」に近づけないかな、と思いました。
「簡単に作れるよ」とおっしゃる方もいると思いますが、専門的な訓練を受けたわけではない私が、手探りで試してみた記録として書かせてください。
描きたかったのは、明るい世界の金
油絵具で、中央に光る道を描きたいと思ったのです。
足元に金色の道が敷かれていて、明るいパステル調の空気の中で、祝福が祝福を呼んでいるようなイメージです。
暗い背景の中で輝く金ではなく、明るい世界の中で「光って見える金」。これは思った以上に難しそうだ、と感じました。
まずは黄色から
まずはパーマネントイエローレモン、パーマネントイエローディープにホワイトを多く混ぜて、明るい金色っぽい色を作ってみます。
けれど、やはり黄色です。白を混ぜた薄い黄色、という印象でした。
暗い面を探す
そこで調べてみると、金色に光っている部分には、かならず「暗い面」がある、とよく言われているようです。
冷たい青を少し含んだ茶色を使う、という話も見かけたので、ウルトラマリンにバーントアンバーを混ぜ、ホワイトを足してみました。
あたたかさを足す
複雑な影の気配が生まれます。けれど今回は、その冷たさが少し強く感じられて、私の描きたい「祝福の空気」には合わない気がしました。
もう少しあたたかい響きが欲しくて、イエローオーカーを少し加えてみます。
すると、少しアンティークゴールドの気配が出てきたように感じました。パーマネントイエローをほんの少し足したり引いたりしながら、道の土台の色を調整しました。
光を重ねる
塗ってみると、周囲が明るいぶん、道がベージュの「ひと段暗い帯」のようになってしまいます。
それでも、どこか骨董のような金の気配はある気がして。そう思いながら、道の中央に明るい黄の光を重ねました。
腑に落ちたこと
ここでようやく、金色の作り方の「考え方」を少しだけ掴めた気がしました。
金色は単色で作るというより、「暗い金」と「明るい金」を並べて響き合わせることで、見えてくるものなのかもしれません。
背景に影を置く
周囲の背景の色も少しトーンを落として、道の周りに薄い影を作りました。
私のイメージではどこまでも明るい空気なので、影を入れるのは少し迷いもありましたが……試しに置いてみることにしました。
すると、道が少し浮き上がって見えるようになった気がします。
仕上げ
最後に、ちょんちょんとハイライト。
控えめだけれど、私の中では「光っている」と思える金になりました。
こうして生まれたのが、「光る道」です。
ひとさじの影
楽しかった。小さな発見が、うれしかったです。
光はいつも、まぶしさだけでできているわけではない。
ひとさじの影があるからこそ、祝福は輪郭を持って、輝きはじめる。
そんなことを、混色の時間がそっと教えてくれたように感じました。
もし「こんなやり方もあるよ」という工夫をご存じの方がいたら、よかったら教えていただけたらうれしいです。
(追記)「コーヒーを飲む天使」の絵にも、この金を
このとき生まれた“混色の金”を、次の作品にも少しだけ渡してみました。
「コーヒーを飲む天使」では、背景の光の輪と羽根の端に、金の気配をそっと置いています。
派手さではなく、静かなぬくもりとして光る金——そんなふうに感じてもらえたらうれしいです。