引き寄せの法則をご存じでしょうか。
「人は、信じたもの・イメージしたものを引き寄せる」という考え方です。
私はこの言葉を、頭ではなく現実のほうから教わることになりました。
私は画家を志すまで、ずっと「絵にまつわる仕事」を転々としてきました。
イラストレーター、グラフィックデザイン、画材店の店員さん、お絵描き教室の先生の仕事……。
気がつくと、いつも絵の“周り”にはいるのに、「自分の絵」を描いているわけではない、という状態が続いていました。
(お絵描き教室の先生の仕事は、残念でしたが病気でやめてしまいました。でも楽しかったので、今でも絵と両立してやりたいと思っています。)
今振り返ると、画家になりたいのに、その真ん中に飛び込む勇気が出ずに、ずっと周りをぐるぐる回っていたのだと思います。
頭では「絵の仕事だからこれでいいはず」と言い聞かせていても、魂は「違うよ、本当にやりたいのはそこじゃないでしょう?」と、ずっとささやいていました。
生活も心もくたびれて、ある日、私は絵をあきらめようと決心してしまったのです。
まだ画家も志していないのに、自分の好きな絵を心から描いてもいないうちに。
それは私にとって、静かな絶望でした。
その頃の私は、未来を明るく思い描く力がほとんど残っていなくて、目の前の出来事も、心の中の景色も、どんどん暗くなっていったのだと思います。
そして結果として、心のバランスを大きく崩し、統合失調症を発症しました。
※ここで書いているのは私の体験の流れで、病気の原因を断定する意図はありません。
退院したてのある日、私はようやく「画家として生きていこう」と決めました。
そのとき、私の中で何かのスイッチがカチッと入った感覚がありました。
魂レベルで「私は画家である」と認めた瞬間、自分を大切にするという意味が、少しだけわかったのです。
そのとき私が思い描いた画家のイメージは、意外なほどシンプルでした。
ただ、自分の絵を、好きなように描いている。
ただ描き続けていれば画家なのだ。だから私はいつまでも画家である。そう思ったのです。
その考え方は今も変わっていません。
画家としてお金を儲けようという未来は――そのときの私には、まだうまく想像できませんでした。
だから私は、こう決めました。
「売れる画家」じゃなくていい。
「稼げる画家」じゃなくていい。
ただ、描いている状態でいる。それが私の画家だ。
私にとっての“画家”は、肩書きではなく、状態でした。
「私は画家だ」と言えた瞬間、魂の奥の緊張がほどけました。
安心が灯り、自己否定が少しだけ静かになったのです。
引き寄せは、その灯りに向かって現実が集まってくることなのかもしれません。
そのとき私が心の中心に置いたイメージは、あまりにもシンプルでした。
絵を描いている。今日も描いている。
それが続いていく。
すると現実は、信じられないくらいその形のまま来ました。
派手な成功じゃなくて、奇跡みたいな大金でもなくて――
私が“選んだ形”そのものが、現実として差し出されたのです。
障害者年金をもらい、貯金を崩して生活していたので、昼間働きに出かけなければいけない、そんな現実が迫ってきていました。
ところが、住んでいる古いビルの一階を貸してくれないかという人が、二人も現れました。
家賃収入と年金で、なんとか暮らしていけるように。
つまり私は、「外へ出て働け」という現実に押し流されずに、描く時間を守れる現実を引き寄せました。
そして一年もたたないうちに、今度はアート社員として、在宅で絵を描きながら、お給料をもらえる仕事に就くことができました。
外に出て“別の誰か”になるのではなく、描いている私のまま働ける現実が来たのです。
あのとき私が心の中で決めたのは、たったこれだけでした。
「私は画家である。なぜなら、描いているから。」
それに、世界が――
『わかった』と返事をした気がしました。
私は、「絵を描いている状態でいる、それが画家である」というイメージそのものを、現実化したのです。
絵を売ってお金を儲けるという方には、なかなかイメージのつかない、というより、自信のない私です。だから、そちらのほうの現実化はまだまだです。
でも逆に言えば、ここから先は、育てていけるということでもあります。
今では、誰でも本当は「引き寄せの達人」なのかもしれない、と思うようになりました。
私たちはみな、自分が深いところで信じている通りの人生を、どこかで選び続けているのかもしれません。
心から、魂から「本当になりたい自分」を受け入れたとき、世界のほうが少しずつそれに合わせて動き始める――
引き寄せの法則とは、本当はそういうものかもしれないと今は感じています。
心の底にフタをしている悲しみや、押し込めてきた感情が、もし癒されたら。
きっと私たちは、今よりずっと良いものを引き寄せるのだろうと思います。
でも、それは簡単なことではありません。
だからこそ、「雨雲を突き抜けたら、その上には必ず青空がある」
そんなイメージを、意識して心の中に置いておきたいのです。
これまでのことは、きっと、どこかで全部、自分の魂が「そう決めてきた」ことなのだと思います。
今週の私は、正直に言うと、落ち込んでどうしようもない時間も過ごしました。
そんな中で、ノートに向かっていたら、ふっとこんな言葉が出てきました。
もっと力強く、明るいイメージを持って。
本当にその通りだなと思いました。
「イメージの力」は、私たちが思っている以上に繊細で、そして力強い。
心から魂から、本当になりたい自分の姿を、こわごわではなく、少し誇らしくイメージしてみる。
それが、魂が望んでいる現実を、この世界に少しずつ引き寄せていくのかもしれません。
この言葉を忘れないように、ここに書き残しておきます。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。