いくつになっても、絵を描いていたいと思います。
今、私は企業に雇われて「アート社員」として絵を描いています。でも、それは「絵で食べていけるか、いけないか」という話とは、少しちがいます。
よく人から「いくつになっても趣味があるっていいですね」と言われます。
そのたびに、心の中で小さくつぶやきます。
――趣味じゃなくて、本気で絵を描いているんです――と。
うまくもないのに、そんなふうに思っているなんて、口に出すと恥ずかしい気がして、いつも笑ってごまかしてしまいます。
それに私は、何でも器用にこなせるタイプではありません。上手な方は、仕事を持ちながら趣味で絵を描いて、とても高いレベルの作品を仕上げておられます。そういう方の前では、赤面するしかない私です。
それでもやっぱり、絵を「趣味」とは呼べません。
ずっと絵を、自分のいちばんの本心にしていたいからです。
そうでなければ、生きている意味がないように感じてしまいます。
私にとって、絵は「生きること」と同じです。
もし本当に食べていけなくなったら、何がいちばん怖いだろうと考えたことがあります。そのとき、真っ先に浮かんだのは「画材が買えなくなること」でした。
けれど、今朝ふとこうも思ったのです。
もしそうなったとしても、紙と鉛筆さえあれば、心から望む絵を描けるかもしれない、と。
そう思った瞬間、「私はなんて幸せなんだろう」と感じました。
どんな状況になっても、「それでも絵を描こう」と思える自分がいる。その思いが心の中にあること自体が、もうすでに大きな恵みなのだと思います。
死ぬまで絵を描きたい。
どんな形であれ、最後の日まで、自分の心の奥から出てくるものを描き続けたい。
その願いは、私が私自身を大切にすると誓った、静かな約束です。
人生がどう揺れても、その約束だけは手放さないでいよう――そう決めていることが、日々のささやかな支えになっています。
どんなことがあっても、絵を描こう。
その約束を守りながら今日も生きていけることを思うと、感謝しかありません。
いくつになっても、絵を描き続けたいと思える自分がいる。
そのことこそが、私にとってのいちばんの幸せなのだと思います。