家の近く、横須賀中央駅すぐのところに「かわしま」という文具店があります。
明治5年創業、なんと150年の歴史を持つ文房具店です。
今は何でもネットで買える時代ですが、私は画材だけはネットでは買わず、できるだけこの「かわしま」で買うようにしています。
最近は、昔ながらの文房具屋さんがどんどん減ってきているので、少しでも応援したい気持ちも込めて、足を運ぶのです。
「かわしま」には、普通のノートやペンだけでなく、他ではあまり見かけないような、不思議でロマンチックなものがたくさん並んでいます。
クリスマスのオーナメント、美しい包装紙、燭台――
どれも、日常の中にそっと紛れ込んでいる、夢のかけらのようなものばかりです。
ここに写真で載せた羽根つきペンも、そのひとつです。
最初に見たとき、
「こんなの、結婚式場の記帳に使うくらいなんじゃないかしら。だれが買うんだろう」
と、少し不安になりました。
でも同時に、
「こんなにロマンチックなものを仕入れてくれるお店が、世の中からなくなってしまったらいやだ」
と思ったのです。
こんなものを、本気で店頭に並べてくれる「かわしま」が大好きで、
「これはもう、私が買って応援しなければ」と、ひとつ連れて帰りました。
それでも時代の波は大きくて、
「かわしま」もずいぶん売り場を縮小されています。
前は壁一面に巻かれていた包装紙のロールは、今では、ほんの一角に少し並ぶだけになってしまいました。
美しい包装紙や、夢のあるレターセット、生活を豊かにしてくれる、こまごまとした小さな品々。
そういうものが、少しずつ姿を消していくのが、とてもさびしいのです。
横須賀市には、今やチェーンの文具店や大型店がほとんどで、ロマンチックなものを本気で扱う個人店は、ほんとうに少なくなってきました。
だからこそ、150年もこの街で続いている「かわしま文具」は、私にとって、なくなってほしくない大切な場所です。
ネットでも、たしかに何でも買えます。
でも、お店に行って、実際に手に取って、重さや質感、紙の手ざわり、インクの色を確かめてから買う――
その時間そのものが、私にとっては小さなロマンなのだと思います。
画材も同じです。
お店の棚の前で、どの色にしようか、どの筆にしようかと悩んでいる時間が好きです。
その迷いの時間に、もうすでに一枚の絵の気配が生まれているような気がします。
「かわしま文具」は、横須賀の街の、そんなロマンチックな時間を守ってくれているお店です。
これからも、あの羽根つきペンのような、ちょっと非日常で、とびきりロマンチックなものを仕入れてくれるお店であってほしいと願いながら、今日もまた、画材を買いに立ち寄ろうと思います。
かわしま文具(株式会社かわしま)
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住所
神奈川県横須賀市若松町2丁目1 Yahoo!マップ+1 -
最寄り駅
京急本線「横須賀中央駅」東口から徒歩約2〜3分 Yahoo!マップ+1 -
電話番号
046-822-0363 Yahoo!マップ+1 -
営業時間
10:00〜19:30(定休日なし)X (formerly Twitter)+1 -
お店の特徴
文具・画材・雑貨のお店で、地下一階〜地上二階まで売り場がある大型の文房具店です。BIZMAPS+1-
X(旧Twitter):文具のかわしま@横須賀(お店の情報・お知らせなど)X (formerly Twitter)+1
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Instagram:@kawashima_stationary(新商品やイベントなどの写真がメイン)Instagram
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