「クリスマスの小人を見たことがある」と言ったら、みなさんはお笑いになられるでしょうか。
あれは今から14〜15年前、ちょうど今ごろの季節のことです。
私は大きな机の前に座り、新しい絵を描こうとしていました。
そっと目をつぶった、その瞬間です。
眉間のあたりがふっと明るくなり、その奥に「クリスマスの小人」がじっとこちらを見つめているのが見えました。
それは、とても鮮明な映像でした。
赤いピタピタの服に、とんがり帽子。帽子もぴったりと頭に沿っていて、そのふちから、押さえつけられた白いひげがふんわりと垂れています。
黒く澄んだ目で、まっすぐにこちらを見つめていました。
その視線を感じたとき、私は「心の中のすべてを見られている」と感じました。
言い訳も、ごまかしも、取り繕いもいらない。
すべて分かったうえで、「それでいいんだよ」と受けとめてもらっているようでした。
なんの言い訳もいらない。
すべて分かっている。
あなたは許されている。
クリスマスの小人は、そう語りかけているようでした。
これまでの人生のすべてを、この小人は知っている──私はそう感じました。
同時に、そのまるごとを包みこむような「深い愛情」を受け取ったのです。
その一瞬で、私は心から安堵しました。
自分の人生に、もう言い訳も申し開きもいらない。
「私は愛されている」と、はっきりと確信できたのです。
ほんの一瞬の体験なのに、私には永遠のように感じられました。
いちばん驚いたのは、小人の情愛の深さです。この世界は、こんなにも深い愛で満ちているのか──そう思わずにはいられませんでした。
クリスマスの小人は、本当にいるのだと思います。
そして今も、どこかで、みなさん一人ひとりのことを、深い瞳で静かに見つめているのかもしれません。
現代童画展のご案内(当時のお知らせ)
(※以下は、この文章を書いた当時のお知らせです)
前にもお知らせさせていただきましたが、現代童画展が今週の日曜日(2025年11月16日)まで、上野公園の東京都美術館で開かれています。
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土曜日(11月15日):9時30分〜17時30分
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日曜日(11月16日):14時まで
障害者手帳をお持ちの方は、付き添いの方2名まで入場料無料です。
私は2点出品させていただいています。もしお時間がありましたら、どうかいらしてください。