最近、「他者愛の天使」という絵を描いています。
自己愛の天使の対になる存在として描き始めたこともあって、最初は「他者愛なんて、今の自分にはまだ難しいテーマかもしれない」と感じていました。
でも、描き続けているうちに、少し気づいたことがあります。
難しくしているのは、実はわたしの考えのほうで、他者愛の天使そのものは、ずっと前からすぐそばにいて、「だいじょうぶだよ」と励ましてくれていたのかもしれない、ということです。
他者愛をイメージすると、なぜかわたしは子どものころを思い出します。
まだうまく言葉にできないまま、人の気持ちを考えすぎていたり、それでも友だちの手をぎゅっと握って笑っていたり。
不器用だけれどまっすぐだったあの頃の感覚が、他者愛の天使とつながっているような気がするのです。
絵の中の他者愛の天使は、黒人の少女の姿をしています。
あたたかいおひさまの下で、花の冠をつけて立っている天使です。
とても繊細でピュアで、明るくて、その明るさがかえって「愛することの力強さ」を感じさせてくれます。
天使って、とてもロマンチックな存在だなあと思います。
悲しみの場面だけでなく、小さな優しさや、何気ない「大丈夫?」のひと言の中にも、そっと寄り添ってくれているような気がします。
わたしにとって「他者愛の天使」を描くことは、自分の中の優しさや弱さ、ロマンチックな部分もぜんぶ抱きしめて、もう一度、人を信じてみる練習のようでもあります。
皆さんが思い浮かべる「他者愛の天使」は、どんな姿でしょうか。
それぞれの心の中にも、きっとその人だけの天使がいて、すぐそばでそっと励ましてくれているのかもしれません。
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