私は、どんな宗教にも入っていません。
決まった教団や決まりごとのある信仰を持っているわけではないけれど、それでも、ときどき静かに祈ることがあります。
飼っていたペットたちが、天国で幸せに暮らしていますように。
亡くなった父や、ご先祖さまたちが、光の中で穏やかに過ごしていますように。
そんなふうに手を合わせるとき、私はいつも、
「どうか届きますように」と、そっと心の中でつぶやいています。
けれど、たまにそれとは少し違う、
**自分でもびっくりするような「深い祈り」**が突然あらわれることがあります。
先日、いつものように絵を描いていたときのことです。
何かを考えていたわけでもないのに、ふいに心の一番深いところから、こんな言葉がせり上がってきました。
「神よ、私に天使の絵を描かせたまえ。」
その言葉は、頭で考えて選んだものではなく、私の意思とは関係なく、魂のほうが先に祈ってしまったような感覚でした。
天使の絵を描きたい――その気持ちは、いつも心にあります。
でも、あのときの祈りは、もっと切実で、もっと真剣で、「魂はこんなにも深く願っていたんだ」と、あとから気づいて胸が熱くなりました。
あの瞬間、
「ああ、自分の本当に描きたい絵が、少しずつはっきりしてきたのかもしれない」
と感じました。
ただ「天使の絵を描きたい」のではなく、
祈りとしての天使の絵を描きたい。
そんな思いが、自分の中に静かに根を下ろし始めたような気がします。
魂からの深い祈りは、ちゃんと聞き届けられるのだろう――
私はそう信じています。
だからこそ、私自身も、その祈りに応えられるように、もっと真摯に、まっすぐに、絵と向き合っていかなければと思いました。
キャンバスの前で筆を持つとき、あの日の「神よ、私に天使の絵を描かせたまえ」という言葉を、これからも静かに思い出しながら、絵を描いていきたいです。